近年、看護の現場でもアサーションが浸透してきており、コニュニケーションスキルとして学んだことのある方も多いのではないでしょうか?
アサーションとは自己主張という意味の単語です。
それだけを聞くと自己中心的な主張に感じますが、相手と対等な立場に立って、相手の主張を否定するのではなく、お互いの価値観を尊重しつつ、自分の意見を伝えるための方法です。
そんなコニュニケーションスキルを夫婦間の会話にも活用し、良好な関係が築けたら一石二鳥ですよね。
ここでは、看護の場面にも夫婦の間でも活用できる、自分も相手も大切にするコニュニケーション方法について解説していきます。
- アサーションの3つの自己表現タイプ
- アサーションを活用しよう
- アサーションのポイント
- 実際の場面でのアサーション活用例
アサーションの3つの自己表現タイプ
アサーションでは自己表現方法、コニュニケーションのあり方や対人関係の特徴を3つのタイプの分類に分けて考えています。
- 非主張的タイプ
- 攻撃的タイプ
- アサーティブ
非主張的タイプ
言いたいことを我慢するタイプのことで、曖昧な言い方や遠回しな言い方が当てはまります。
その主張方法だと、相手の言い分を優先して受け入れることになり、徐々にストレスがたまってしまいます。
また、相手に何も言わなくても察してほしいと感じている女性が多いように感じますが、このタイプに当てはまります。
どうしても怖い先輩相手だと、遠回しな言い方になってしまい自分の意見が言えないことが多いですよね、、。
- ストレスがたまる
- 怒りをため込む
- 相手に誤解されやすい
- 嫌われたくない気持ちが強すぎる
- 察してほしい気持ちが強すぎる
- 自己評価の低さ
攻撃的タイプ
相手の気持ちや考え方や要求を考慮しないで自己主張するタイプで、暴力、大声、無視するなどが特徴です。
自分は言いたいことをちゃんと言っているが、言わない相手が悪いと自分を正当化してしまう人もこのタイプです。
そのような表現をしていては、職場でも家庭でも人間関係がどんどん悪化してしまいます。
筆者もとても忙しかったり疲れていると言い方が少しきつくなってしまうこともあります。
- ストレスに気づきにくい
- イライラしがち
- 相手からの怒りや憎しみ
- 相手からの信頼感や愛情を失う
- 優位に立ちたいという気持ち
- 甘え
- 自信過剰と根底にある不安
- 真面目で責任感が強すぎる
- 自分の弱さを受容でいない
- 疲れている
アサーティブ
今回活用したいコミュニケーション方法です。
自分の気持ちや考えや要求を素直に表現するタイプです。
相手の気持ちや考えを聴くことも大切にする、自分の弱さを認め表現することもできるのが特徴です。
- 自分が相手のその人らしさを大切にする
- 話し合って歩み寄ろうとする
- 肯定的なメッセージを伝える
- 自分と相手の気持ちや考えが異なるのは当然と考える
- 過度な自信と謙虚さ
- 自分自身が相手との関係の変化の鍵を握っている
アサーションを活用しよう
アサーションはまずは自己主張する。そして、相手の自己表現も引き出して聴くことが大切になります。
では実際、そのように活用したらよいのでしょうか?
- まずは自分の考えをストレートに表現する
- 相手の気持ちや考え方を大切にして聴いて理解する
まずは自分の考えをストレートに表現する
自分の考えをストレートに表現することは非主張的タイプの方には一番難しいかもしれません。
しかし、人はそれぞれに生まれ育って来た環境や文化は違いますし、それぞれの価値観が根付いており同じ考え方の人はいません。
ですので、まずはしっかりと「私はこうである」「私はこう思う」と、自分の思っていることを相手に伝えることが大切です。
相手の気持ちや考え方を大切にして聴いて理解する
アサーションは自分も相手も尊重するという考え方がベースにあるので、自分の考えを表現するだけでなく、相手に興味を持って聴いたり、理解したりすることが大切です。
「私はこう思うけど、あなたはどう思う?」というように相手も自己表現も引き出して聴き相手を理解しようとすることが重要です。
アサーションのポイント
アサーションを活用する上で大切なポイント・活用例を解説していきます。
- アイメッセージを活用する
- 相手の気持ちを聴いて理解する
- 問題解決しようとしずきない
アイメッセージを活用する
アイメッセージとは主語を「私は」にすることです。
「私は」を意識して伝えること、柔らかい表現でしっかりと自分の思いを伝えることができます。
例えば 「あなたから連絡がなくでさみしい。」だと、相手に連絡を催促するような意味合いが出てしまいます。
そこで、「私はあなたから連絡がなくてさみしい。」と言い換えます。
私をつけることで、私の気持ちに焦点が当たることでさみしいという気持ちがしっかり伝えることができます。
相手の気持ちを聴いて理解する
相手の話を聞いて理解する、気持ちや考えを受け止めることが2つ目のポイントです。
ここでいう、相手の意見を聞くことは相手の言いなりになることではないので注意です。
相手の気持ちや考えを聴くと自分とは全く異なることもあります。
そんなときは無理やり相手に合わせたり否定したりしてはいけません。
自分と相手の気持ちや考えが異なるのは当然と考え受ましょう。
そんなときはアイメッセージで自分の考えを伝え、相手の考えを引き出して聴き、歩み寄るようにしましょう。
問題解決しようとしずきない
相手の話を行くときに問題解決する意識を持ちすぎないことが大切です。
特に男性に問題解決型の思考の人が多いのではないでしょうか?
相手はただ話を聞いてほしいだけということもあります。
ですので、話を聴いてほしいだけだと感じている相手にアドバイスや意見をしても、全く相手の気持ちを理解していないことになってしまいます。
妻の話を聞くときに、聴いてほしいだけなのに、アドバイスをしてしまうことがあり気をつけています。
実際の場面でのアサーション活用例
では実際に仕事現場と夫婦間でのやり取りで、例を元にアサーションを活用していきましょう。
- 看護の場面で
- 夫婦の夕食の時間に
例1:看護の場面で
あなたは病院で働く新人看護師です。
今日は忙しいな。もうすぐ検査に呼ばれるから、それまでにトイレ誘導して、検査着に着替えて、点滴を開始して・・。
やることがたくさんあるときに、忙しそうな先輩看護師から話しかけられました。
ちょっと田中さんの点滴お願い!
そんなときはあなたならどうしましょう。
・・・わかりました。行ってきます。
これは非主張タイプです。
本当は自分も忙しくて、手が回らないのに、自分の意見が伝えられておらず、無理に仕事を引き受けてしまっています。
これでは検査に呼ばれたときに準備ができていなかった場合、患者さんにも検査スタッフにも迷惑をかけてしまいます。
今、検査の準備があるので、いけません。
これは攻撃的タイプです。自分の主張のみを相手に伝えています。
看護師は個人ではなくチームで医療をしています。
これでは、周囲から孤立してしまいます。
今はもうすぐ呼ばれる検査の準備をしているので、10分くらい後ならいけますが、それでも大丈夫でしょうか?
これは自分の意見もしっかり相手に伝え、かつ、相手の意見も尊重することができています。
もちろん、先輩に頼まれた点滴の優先度が高い場合もあるため、そのようなときはリーダーや他のスタッフにも助けを求めましょう。
例2:夫婦の夕食時に
あなたは料理をいつも作っている妻です。
はあ・・。今日は仕事も大変だったし、とても疲れていて料理を作るのがつらいなあ。
夫も同じくらいの時間に帰ってきてソファーで横になりスマホを触っています。
このゲーム面白いなあ。
そんなときはあなたならどうしましょう。
はあ、なんで察して手伝ってくれないんだろう。
これは非主張タイプです。
心の中で思っていることを我慢していても、相手には全く伝わりません。
モヤモヤ、イライラがたまりいつか爆発してしまいます。
暇なら料理を作るの手伝ってよ!
これは攻撃的タイプです。
自分の主張のみしており、相手の考えは全く聴こうとしていません。
今日は仕事が忙しくて疲れたの。もし時間があったら料理を作るのを手伝ってほしいと思っているけど、どうかな?
これは自分の考えをしっかりとまずは伝えています。
また、相手の行動を強制せず、相手の考えを聴こうとしています。
まとめ
以上、アサーションについて解説してきました。
- アサーションは自分も相手も大切にする自己表現方法
- コニュニケーションのあり方や対人関係の特徴を非主張タイプ、攻撃的タイプ、アサーティブの3つのタイプの分類に分けて考えている
- アサーションの考え方を仕事や夫婦間で活用できると、自分だけでなく相手も大切にできる
周りの人とすてきな関係を築けるようにアサーションをうまく活用しながらコニュニケーションを取れるようになるとよいですね。
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